【読書】亡国のイージス、嫌われる勇気、USJ、小さなチーム、人類は衰退しました
おもしろかった。前半最後の、話の構造ががらっと変わるところが気持ちいい。構成をどんだけ計算しているんだか。
北の工作部隊、というか静姫のチートっぽさはともかくとして、キャラが立っていてアニメ向きだと思う。
- 如月行のイメージは東のエデンの滝沢朗
- 仙谷曹長はなぜか千と千尋の親父
- ホ・ヨンファはターンエーガンダムのミドガルド
が頭に勝手に浮かんで飛んだり跳ねたりしていた。
宮津艦長が、やっぱり「艦長」だからなのか、宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長になってしまって、そんな歳じゃねえのになあ、という違和感を最後まで拭えなかったのが若干心残り。キャラクターの語彙に乏しいな、自分。
一回棚にしまったんだけど、結局ブックオフで処分。1冊5円で上下巻10円だったに少しショックだったけど、よく売れたからだよね。新刊で買ったから許してほしい。
おもしろかった。納得できるところ多数あり。はてダの名エントリ「要は、勇気がないんでしょ」を思い出すなど。
響く層が広いんだろうなーというのと、(狙いどおりだろう)説得力があるので、今年ランキング1位になるのも納得する。
「嫌われる勇気」というタイトルはあまり的確なタイトルではないように思えるけど、まあ引っかかりそうな、フックになる題にしたんだろうな。
ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上 (ハヤカワ文庫SF)
ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)
ニンジャスレイヤー的勘違いニッポン+ディストピア未来日本+諸々。まあまあ面白かった。「電卓」という翻訳がよい。電卓ゲームに夢中になってる日本人が実際いすぎてウケる。
黒髪の女性特高で腕にでかいガンアーム、というあたりで昭子のイメージがBlameのサナカンになってしまった。あんなに超然とはしていないのだが。
公言されている元ネタに「高い塔の男」という作品があり、「ブレードランナー」と同じ人が書いているらしい。そっちの方が気になった。
あとは文庫版では分からないけれどアートワークが素晴らしい。
小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則
RoRで有名なDHHことデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソンの本。
共著のもう一人は「ジェイソン・フリード」という。すぐ忘れそう。
モチベーションの上がり方は★★★☆☆といった感じ。
この本自体が彼のマーケティングだしな、という覚めた視点が頭をちらちらする。
後は挿絵と文のレイアウトが少しちぐはぐな印象があり、原著ではどうなっていたのか気になる。
期待はずれだった。
名前だけ引用しているエントリを見て正月読む本に選んで買い込んだんだけど、2巻で読むのを諦めた。
自分はたぶん、もっと科学的考証が出てくるような、要はSFを期待していたんだな。
だけどこの本は単に人類衰退後の世界を舞台にしただけのファンタジーであって、理屈まる抜きで出てくる妖精さんとか興醒めでしかなかった。純粋にファンタジーとして見てもワクワク感がないというか、いま一つ世界観に入っていけなかった。人気の理由がわからない本リストに追加。
SIerとWeb屋のビジネスモデルの違い
ここらへんのエントリを見て書きたくなったお話。
世の中には2種類のソフトウェア企業がある
ソフトウェアを開発している企業は2種類に分類できる。(A)自分のソフトウェアを作っている企業と、(B)他人のソフトウェアを作っている企業である。
前者(A)は作ったソフトウェアを自分で売ったり運用したりして利益を得ている企業である。はてな等Web屋の文脈でイメージされるが、ATOKのジャストシステムや勘定奉行のOBCなどパッケージ主力の会社はこちら。
対して後者(B)は受託開発を主力とする企業である。いわゆるSIerに代表されるが、Web制作会社もどちらかといえばこっちだろう。Webという単語に惑わされると話を読み違えるので注意されたい。
(※はてなも受託開発してるし、実際には白黒ハッキリ分けられるとは限らないが、どっちが主力かということで単純化して考えてほしい)
この違いはビジネスモデルの違いであり、労働環境やソフトウェアの開発環境、それを決める戦略に影響を及ぼす。以下、ざっくりと違いを並べる。
(A)自分のソフトウェアを作るビジネスの特徴
- 作ったソフトが売れると(サービスが利用されると)儲かる
- より良いものはより沢山売れて、たくさん儲かる
- ソフトは自分のものなので、言語や環境の決定権を持つ。自由度が高い
- ソフトをより良くしようとすることに注力する(価値の最大化)
- ソフトが売れないと死ぬ
(B)他人のソフトウェアを作るビジネスの特徴
- オーダーメイドのソフトを作る
- ソフトは客のものなので、言語や環境の決定権は客にある
- オーダーメイドなので定価がない。お値段を決める必要がある。
- お値段の根拠に一番説得力のあるのは労働時間なので、労働時間に比例して決めることにする(人月の始まり)
- 労働時間が増えるとたくさん儲かる。労働時間を増やそうとする。(労働力=稼働の最大化)
- オーダーをもらえないと死ぬ
負け犬プログラマーの歩み/人生の負け組crapp 氏の書くことについて
技術を高めることに関心があるようなので、氏には(A)のビジネス環境の方が向いているように思える。しかし個人事業主で、しかも自分のサービス/プロダクトで勝負しているようには見えないので、(B)のビジネスをせざるを得ないところに不幸の種がある。せめて(A)で成功している企業から(B)の仕事を請けるべきである。労働環境や技術などでおこぼれがもらえるからである。(B)であるSIerから(B)の仕事を請けたのでは、氏が幸せになる要素がほとんどない。氏の個人事業主としての営業力でよりよい仕事が得られることを願うばかりである。もちろん、自分で(A)のビジネスを立ち上げられるのなら、それが一番なのは言うまでもない。
また氏はSIer憎しで(意図的にかもしれないが)問題をごっちゃにしている節がある。開発要員を協力会社に頼るケースが多いのは、元を辿れば日本の労働法に原因があると自分は思う。(B)のビジネスでは、開発要員を正社員で揃えると解雇できないので固定費が上がり、オーダーが足りずに会社ごと死ぬ確率が上がってしまう。技術と業務知識、どっちを残すかと考えると、外注できない方を残さざるを得ないのも当然だろう。
SlackをSIerに導入した件についてのssig33氏のコメント
小野和俊のブログ:SlackをSIerに導入した話。そしてSIerの未来
クレカまわりとデータ転送ミドルウェアの売り上げ構成比率が大きく、ソリューション事業はあまり大きくないという性質が大きいと思う
2016/11/29 00:20
このコメントは大いに首肯するところで、セゾン情報はSIerといいつつ(B)ではなく(A)に近いのではないか?ということを指摘している。
自社製品開発であれば客先常駐することはないだろう。製品価値の最大化もビジネスとして合理的である。しかしSIerとして一般化できる話かというと疑問に思う。(B)のビジネスをしているSIerとは環境が違いすぎるからだ。とはいえ、引き続きSIerの未来についてエントリがあるようなので期待して待ちたい。
SIer による SIer 評
自分は数千人規模のSIerでリアルに10年泥をやってる。仕事は2次請け以降が多い。下請けを探して採ったり切ったりする。自分は運がよくて最近はWeb系の開発が多く、gitやSlackとか、最近流行のなんかは普通に使う。プログラムも書く(コードレビュー、テストレビューにとられる時間が多くなったが)。ユニットテストも導入した。ただとなりの部署には、20年COBOLで同じシステム一筋なおじさんもいたりする。
……から見たSIerの話。書きぶりはともかく表面的なところは [SIer]エンジニアから見たSIerがさほどクソではない理由 が割と近しいので譲るとして、それ以外の点でいうと、
人の役に立つシステムを作っているという矜持
が一番大きいかなあ。
小野さんのブログのなかで
日本のITの大半がSIなのだから、SIが終わるということは、基本的には日本のITが終わるということだ。
という一文があって、これはそう誇張でないと思っている。なぜなら、月末にちゃんと給料が振り込まれるのも、今自宅のPCに電力が供給されるのも、コンビニに物資が配達されるのも、工場でガジェットがちゃんと生産されるのも、JRの在来線が時間通り運行されるのも、市役所で色んな手続きができるのも。全てSIerが作ったシステムが安定稼働しているからなのだから。おおよそぱっと目に入る所の裏に隠れているシステムはだいたいSIerが作ってる。まあパッケージかもしれんけど(それもNECや富士通製かもしれない)。そういう普通の社会に貢献している意義はそんじょそこらのWeb屋には遠く及ばない領域にいると思っている。
自分はDeNAのWELQを軽蔑する。(A)のソシャゲが儲からなくなった企業の哀れな姿だと思う(それどころかこの件は反社会的といえるレベルだが)。また重課金者をターゲットにしたゲームも潔しとしない。最高の技術でパチンコ中毒者を再生産するのと、COBOLでレガシーなシステムの保守をするのなら、自分は後者を選ぶ。それが自分の矜持だ。
もちろんクソなところはたくさんある。書ききれないほど。最高の技術で、クソなことに一切煩わされず、人の役に立つものが作れるなら一番良い。でも現実には何かに折り合いをつけなくちゃいけなくて、折り合いを付けた人がSIerの中から社会の歯車を回しているんだ。
公務員の接待ゴルフ解禁を求める国会議員リスト
この件、Google先生にお尋ねしたところお名前出てきたので下記にまとめました。
「業者らとゴルフ禁止」国家公務員の倫理規程 見直し困難 | NHKニュース
- [行政]
- [政治]
超党派の議員連盟など(業界団体など?)が規定の見直しを求めるも、人事院にピシャリをはねつけられたとのこと。国民の代表であるべき国会議員と民意の乖離が激しい。なぜ議員連盟の名前を報道しないのか
2016/10/09 17:19
連名の発起人であり、要職を占める国会議員は次の通り。超党派というだけあってバラエティ豊か。
- 衛藤征士郎(自民党。衆議院、大分二区。名誉会長)
- 山岡賢次(民主党→生活の党。参議院、比例代表。会長)
- 中曽根弘文(自民党。参議院、群馬選挙区。会長代理)
- 漆原良夫(公明党。衆議院、比例北陸。会長代理)
- 浅尾慶一郎(みんなの党→地域政党代表。衆議院、神奈川4区。会長代理)
- 穀田恵二(共産党。衆議院、比例近畿。会長代理)
- 重野安正(社民党。元衆院。会長代理)
- 下地幹郎(日本維新。衆議院、比例九州。会長代理)
- 園田博之(たちあがれ日本→次世代の党→自民党。衆議院、熊本4区。会長代理)
これらの議員ふくめ衆参合わせて計70余名が参加しているとのこと。
また、国会議員の他に業界関係者として以下の人物の名前がある。*1
- (社)日本ゴルフツアー機構 小泉直会長
- (財)日本ゴルフ協会 安西孝之会長
- (社)日本女子プロゴルフ協会 小林浩美副会長
- 日本ゴルフ関連団体協議会 小宮山義孝会長
- 片桐達浩常任理事
考察
連名の目的は
- 「ゴルフ利用税の撤廃」
- 「国家公務員倫理規定」のゴルフ禁止規定の削除
であると明記されている。
また『昨年12月のJGA主催の「ジャパンゴルフツアー」表彰式でもこの”撤廃”と”削除”に向け精力をを注ぎたいと挨拶を致しました。(昨年の記事・動画をHPからご覧いただけます)』とあることから、接待ゴルフ解禁の要求・主張は以前から公然と行われていたようだ。
活動の背景には「ゴルフ利用税撤廃」の130万人もの署名があるようだ。まったく興味がなかったので知らなかったが、ゴルフ利用税というものがあり、この税金の撤廃を求める運動は以前からあったらしい。ゴルフ利用者の立場からすると、税金を安くしろと主張するのは分かる。
ただ国会議員の接待ゴルフ禁止規定は一般のゴルフ利用者には関係ない。とすると、どこでこの要求が盛り込まれたのだろうか?
個人的には日本ゴルフ協会などの業界団体ではないかと邪推しているが、真相は分からない。赤旗かどっかが調べてくれないだろうか。
ソース
*1:なお記載の役職は当時のもの。役職を退いたり既になくなっている方も含む。
【読書】とっぴんぱらりの風太郎、保守主義とは何か、コンテナ物語
期待したのとちょっと違った。裏表紙のあらすじのニート忍者という単語から同じ京都小説のくくりの森見登美彦的なものを期待していたけれど、実際は王道な展開のある時代小説だった。オチで、ああこれは「プリンセス・トヨトミ」を先に読んでおくべきだったんだな、と気がついた時には後の祭り。これといい「聖なる怠け者の冒険」といい、連載ものの小説って焦点が定まらないというか、凡庸とした印象を受けるのは気のせいだろうか。面白かった(下巻も買った)けどもう一回読みたいとは思わないのでブックオフ行き。
保守主義とは何か - 反フランス革命から現代日本まで (中公新書)
面白かった。保守主義ってそもそも何なの?原点どこなの?という疑問に答えてくれる本だった。元々は進歩主義(理屈上は最高に平等なルール考えたぜ!)に対するカウンター(人は完璧なルールが考えられるほど賢くないぞ落ち着け)で、進歩主義的な考えが魅力を失った現在では保守主義も逆説的に立場があいまいになっているという辺りは、歴史を俯瞰する見方として分かりやすく面白い。日本においては自民党vs社会党の55年体制がそのまま後半を象徴している。また現代日本の保守を自認する人たちは、実はただの明治懐古主義者なんじゃないの?という疑惑も透けてくる。なんとなくリベラルを自認する自分にとっても考えを振り返るきっかけになった。文庫入り。
はてブやなんかでおすすめされてた本。図書館で借りた。大変おもしろかった。沖仲仕ってなんぞ、古来の港とはなんぞというところ、マクリーンの生き様が特にいい。マクリーンが亡くなったとき世界中のコンテナ船が汽笛を鳴らして弔意を表したという辺りは感慨深いものがある。これから図書館に返しに行くけど、ブックオフに置いてないかなあ。
我々の生活が依存するもの
小さな家で豊かに暮らす 森山直太朗さんも注目の“高級車より安い”「タイニーハウス」が世界的ブーム - Togetterまとめ
こういうの見るたび電気ガス上下水道インターネット電波物資医療と、いかに我々が依存するものが多いかということに想いを馳せざるをえない - auient のコメント / はてなブックマーク
昔のドラえもんのアニメに雲を固めるスプレーみたいなのが出てくる話があって、それで雲の上に家を作ったらいいなあ、と思ったぼんやりとした記憶がある。だけどその時、どうやって水道管をつなげたらいいか、というのが当時の自分の悩みだった。地面から雲の上まで天高く管を伸ばさないとダメだろうか?
その時以来というわけではないけど、僻地や変な住環境に置かれたとき、ガスや水道といったライフラインがどうなるか考えるのが癖になっている。せっかく思い出したので、普段の我々日本人の生活が何に依存しており、もしなくなるとどうなるかということを考えてみたい。
電気
電気は電化製品を動かすのに必要になる。これがないとPCや電子レンジは使えないが、生きてはいける。雲の上ならよく日が当たるし場所は十分あるだろうから太陽光発電で自給できそうだ。タイニーハウスではどうだろう。やはり電力会社と契約して、近くの電柱から電線をひっぱるのが一番よい気がする。屋根裏もないタイニーハウスなら配線も楽にできそう。あ、家の近くに電柱がなかったらどうなるんだろう? 石油か何かで発電機を動かすか、自然エネルギーに頼るか、電気なし生活になるしかないか。
ガス
ガスは熱源である。雲の上では調達できないので地上からガスか代替品を調達せざるを得ない。太陽熱で作ったお湯が使えると補助になりそうだ。さてタイニーハウスでは? ガス管が来ていれば都市ガスが最も快適だろう。ガス管のないところでは、プロパンガス、灯油の買い溜め、薪と直火、の順で豊かな生活が送れそうだ。熱源がない場合、冷えと消化の悪い食事に苦しみそうだが、まだ生きていける。
上水道
さて上水道である。言うまでもなく命をつなぐのに不可欠であり、何としても手に入れなければならない。雲の上だとどうにかして雲から水滴を集めたりできそうな気がする。タイニーハウスでは? 豊かな生活のためには、当然水道管のある場所に家があることを期待したい。これがないと雨水に頼るか日々水を汲みに行くはめになり、現代日本の生活水準からしてお世辞にも豊かとは言いがたい。
下水道
水道というと上水道ばかりに意識がいくが下水道も重要。下水道は汚水を処理し生活環境を清潔に保つ。雲の上では、汚水をそのまま地上に投棄することで家の周りは清潔に保てそうだ(地上の不運な人はたまったものじゃないが……)。タイニーハウスではやはり下水管があるところが望ましい。雲の上と違ってそこらへんに投棄すると住環境が悪化してしまう。下水管がないところではタンクにためておいて専門業者に回収してもらう必要がある。そういえばあのタイニーハウスの間取り、お風呂とトイレあったっけ?
ゴミ
下水道とやや重なるのがゴミの処理。キャンプカー生活してた人ここらへんの問題で炎上してた記憶がある。雲上なら単に投棄すれば良さそうだけど、タイニーハウスなら普通の家と同じで回収してもらわないとね。あ、燃やしてしまうという手もあるか。法律さえ許せば。
通信手段
インターネットを含め、電話、テレビなどの通信手段。これだけは他の電気や水道と異なり無線で利用可能なので生活のハードルはかなり低いと思われる。雲の上なら何かしらの電波を捕まえられそうだし、最悪衛星回線がある。タイニーハウスでも電波状況さえよければなんら遜色ない生活ができそうだ。まあ、近くに基地局なり中継局があって、受信状況が良好ならば、なんだけど。
物資
我々動物は食物を通じて栄養を摂取しており、従って食糧は必要不可欠なリソースである。その他豊かな生活を送るのに必要な物資は数えればきりがないが、とりあえず食糧だけを考えよう。雲の上はこの点で絶望的な環境であり、どこでもドアや航空機の定期便などその他のソリューションでの解決が必須である。タイニーハウスの場合、立地次第だが、宅配業者が使えるか行動範囲内にスーパーがあれば大丈夫だろう。
交通手段
そう、私は立地と言った。我々は家の外に一歩出れば道があるのが当然だと思っているが、果たしてそれは当然なのだろうか? その道が通行可能で、崖や川や山といった障害物で分断されておらず、他の町とつながる状態を維持できているとすれば、それはどれくらい重要なリソースなのだろうか?
医療
他とはやや毛色が異なるが「豊かな生活」というなら外せない。些細な風邪をこじらせないために、怪我や骨折を大事に至らせないために医療は必要である。なくても生存は可能だが、不安なく日々を暮らせるかどうかには大いに影響するだろう。
まとめ
一通り書き出して気づくことは、何にせよ「線がつながっている方が便利」ということだ。電気ガス上下水道が住居に有線接続されている意味は伊達ではない。変なところに家を建てるなら、できるだけ線がたくさんつなげられるように気をつけよう。
いつか将来、スマホなんかの身体測定と通信技術が発達したら医療も無線遠隔でできるようになるのかなあと思いつつ。以上。
最近読んだ本まとめてメモ
最近意識して本を読むようにしている。感想を都度ブログに書こうと思っていたら、ズボラで読んだ本だけがたまってしまったので、まとめて感想をメモしておく。
産経新聞の本。本屋で赤い表紙が目について購入……はせず、図書館で借りた。研究なのかと思ったら共産党とSEALDsの悪口が脈絡なく書き散らされているだけだった。せいぜい「観察日記」レベルの文章の寄せ集めで、これを「研究」と銘打ってしまう産経新聞政治部の日本語能力が心配される。図書館で済ませてよかった本。
ブックオフで108円で購入。明確な筆致で仏教とはなんであるか解説しており、分かりやすく良い本だった。産経新聞の本を読んだ後だったので尚更(?)実用的な日本語文章はかくあるべしと強く思った。この人の他の著作も読んでみたい。
シン・ゴジラを見た影響で災害と政治ドラマという切り口の話を読んでみたくなり購入。臨場感あり面白かった。これ確かに実際に起こったら日本終わるな?と思える。やや安直な政治批判が鼻につくのと、政府の対応はファンタジーだなあと思ってしまう点が気になる。これの後の日本がどうなったかの話を読んでみたい。
四畳半神話大系以降ファンになった森見登美彦氏(実ははてなユーザ)の文庫新刊。この人のコピペが巧みに駆使された幻惑的な文章はnjslyrのシークエンス・ブレイクビーツ技法に通じるものがある。キョートだし。Twitter連載してみたらどうなるだろう。そういえば有頂天家族のアニメ2期が決まったようだけど1期見てないなあ。
以上。
マンション管理組合は小さな政治の場である
縁あって今年からとあるマンションの管理組合理事会に出ているのだけど、これがなかなか興味深い。
保守派と革新派があり、利害の対立があり、リアルな自転車置き場の議論があり、外的環境の変化——たとえば民泊に対応しつつ、予算と実績・収入と支出をバランスさせねばならず、なにがしか合意を得てことを進めないといけない。顔の広い人がおり、実務能力のあるがおり、理屈の通じない頑固なじじいがいる。まさに政治のミニチュアなのだなあということを強く思う。有権者の規模が小さいだけで。
有権者数(組合員)も理事会も人数が少ない分、議論になると発言力が強い人の制圧感などをリアルに感じられる。参加したばかりの自分は吹けば飛ぶような発言力しかない。
でもそこでちゃんと理論立てて話ができると注目を集められる。ちゃんと聞いてもらえる。ダイレクトな反応が返ってくるのはなかなか面白い。
思うに、管理組合といえば面倒くさいものの代表例と認識される節があるけれど、これは政治への無関心につながるところがあるんじゃないか。
「マンションは管理を買え」という言葉があるけど、これを政治に例えるなら「住む国を自由に選べるとしたら、よりよい政治が行われている国を選ぶべき」となる。なんとも当たり前のことだ。誰が進んで北朝鮮やシリアに住みたいと思うのか。
普段の生活ではあまり意識しない共用部の維持管理であるとか、必要な長期修繕計画の策定・見直し・遂行であるとか、それは誰かがやっている。入居者はその恩恵を被る立場にある。賃貸であれば話は別だが、区分所有であればその意思決定の責任の一端は間違いなく入居者本人にある。その責任に無関心でいいのだろうか。自分に最も身近な意思決定に無関心でいられるとしたら、どうして日本国としての意思決定に関心を持てるのだろう。
管理組合は面倒くさい=基本フリーライドしておけばいんじゃね?という姿勢には政治の無関心と根源的につながると思う。いつか本当に困ったときに気がつくんじゃないだろうか。それが身近には、自転車置き場や共用部の使い方として現れるのだと思った。