コメント頂いたので考えてみた。この方のいう本質的な問題とはなんだろうか。
自分の見た客先常駐 - auientの日常
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- [労働]
一連の記事で気になるのはこれ含め"客先常駐"と"SES"の問題を混ぜて扱っている点;本質的問題は客先常駐(SES/請負問わない)だと思うので,そこをもっと語って欲しい;柔軟な雇用については経営側の一方的都合としか思わない
2018/01/14 16:58
コミュニケーションの問題
常駐とリモートを比べたとき、物理的距離が近い方が圧倒的にコミュニケーションが取りやすいというのがある。システムの仕様や要件を正確に表現することは難しいから、メールとかチャットじゃなくて対面で話した方が望ましい。ウォーターフォールの要件定義ではMTGをたくさんするし、目的のものが変化していくアジャイルだとなおのこと多いと思う。客は文字にできなくても喋って伝えられた方が楽だし、受注側も客の要件をちゃんと理解しとかないと的外れなモノを作るリスクがあるので、受発注双方に常駐のメリットがある。
セキュリティの問題
次にセキュリティ要件の問題がある。作業は入室セキュリティのある場所で行えとか、ネットから隔離されたマシンでやれというやつ。これも契約書に条件書いて受託側に作業場所用意させるのが面倒すぎて、逆にお客さんの方で要件に合う場所用意してくださいよそこでやるから・・・となる。客も手元で作業環境が確認できた方が安心。これも受発注双方の常駐メリット。
契約の問題
発注側からすると「要件・納品物を定義できるか」という分かれ道がある。定義できれば請負にできるが、要件漏れのリスクがある。あとはアジャイルなどで作業人員を確保したい客の場合そもそも納品物を定義できない(定義したらアジャイルにできない・・・)。ので明確な目的があるプロジェクト(旧システムリプレイスなど)以外は準委任SESか派遣にしたがる傾向がある。あとはどうしても作業に口を出したがる人もたまにいる。
受注側からすると派遣はうまみが少ない。一番大きな利幅を狙えるのは請負だが、納品物が決まるかは客次第だ。準委任SESと派遣なら、社員に対する指揮命令ができてチームとして運用できる準委任SESの方がメリットが大きい。先輩新人をセットにしてOJTで新人を育てるのはよくあるパターンだが、同じチームで席を隣にするなどできる点で準委任の方がやりやすい。派遣ではこうはいかない。
これは受発注双方の準委任SESのメリットである。
常駐させられる要員の問題
元増田で指摘されているやつ。客先に送られる要員の立場になってみると
- まわりが客だらけで肩身がせまい
- スキルが身につかない仕事をさせられる場合がある
- 元の会社の福利厚生などを利用しにくい
など。請負でも準委任でも派遣でも同じだが、↑上の3つに社員の立場での論点が出てこなかったことから分かるように、受託開発ビジネスの上で割とどうでもいい扱いされる事柄である。強いていうなら受託側企業とその業務を担う従業員の間の問題だが、従業員に我慢させれば前述の理由でビジネスがやりやすいという構造がある。確かに一方的だろうが、経営リスクを負ってない立場では文句を言うぐらいが関の山かな(合法な限りは)という感じ。
まとめ
結局のところこの構造は需要(発注側)と供給(受注側)双方のニーズによるものであって、SESも常駐も、突き詰めれば現行の法体系や資本主義という原理原則と地続きなんじゃないかな、というのが自分の見解である。そういう意味でSESと客先常駐を分けて考える理由が自分にはよく分からない。
ちょっと前からしばしばアクシアという会社の社長ブログをホッテントリで見る。こういう問題を認めて正直に向き合っているように見えて個人的には好感が持てる。こういう経営方針の会社なら従業員も諸々の問題を回避して幸せに働けるのかもしれない。
以上、ご参考まで。>id:vanbraam