眠れないのでメモがてら。
それまで愛用していたカナル式の格安イヤホンが壊れたためAirPods Proを買ったところ、ハンズフリーであったり電源ON/OFFが自然だったりと非常に快適な点が多く、こりゃ正解だと思ったのであった。
中でもノイズキャンセリング性能が良いことが何より快適さに貢献している。これ以前に使っていたBOSEのヘッドホンは「サー」というホワイトノイズが気になって全然使わなくなった。これと比べるとAirPods Proの無音さはまさに無に近い。
で、喜んで電車などでも使っていたところ、あることに気づいたのである。耳の奥に力を入れると線路の音が伝わってくることに。
鼻をつまんだ状態で鼻から息を出そうとすると、喉の奥から耳の方へ空気の圧力がかかるような感じを覚える。これは「耳抜き」と呼ばれ、ダイバーには一般的な技法らしい。
自分は耳抜きをすると、左側の耳の中が「ぱり」と音を立てて、何かがくっつくか剥がれるかする感覚をずっと持っていた。多分小学生くらいの時からあった気がする。
更には、鼻をつまむことなく、耳の奥に力を入れるだけで「ぱり」と音をさせることができるのである。なぜ、いつ覚えたのかは定かでない。音は自分だけに聴こえるものであろうし、また別段何かの役に立つこともなかったので、今まで気にしたことはなかった。
事象は電車内でAirPods ProのノイズキャンセリングをONにし、気まぐれで「ぱり」をやった時に起こった。騒音から離れていた左耳にガタンゴトンという車輪の音が聞こえてきたのである。鈍い音は尻の下から響いてくるようであった。
つまり、と私は瞬時に思った。これは骨導音なのではなかろうか。「ぱり」によって通常伝わらない振動が耳の神経に届いているのではなかろうか。
骨から伝わる骨導音に対して、空気から伝わる通常の音を「気導音」というそうだ。イヤホンのノイズキャンセリング機能が「マイクで拾った外部の音を打ち消す音を出す」方式であることは有名だが、打ち消すための音波も気導音として耳に届くことになる。骨を伝って直接届く骨導音は打ち消すことができないはずである。
そして「ぱり」という音の正体だが、耳の中で何かが物理的な何かが接触して発生している音であり、接触しているために座席下の振動が骨導音として耳に届いている。と考えるとつじつまが合う。
最新の機器を使い思わぬところで長年謎だった自分の身体が理解できたようで、自分は思わず興奮した。
このあとこの説を補強するもう1つの材料が見つかった。ハミング、つまり鼻歌で出す音は他人には聞こえづらい小さく鈍い音になるが、ハミング中に「ぱり」をやると音が異常に大きく左耳に響くのである。これは鼻・喉で出した音や振動が「ぱり」の接触によって直接耳に届いているように思われてならない。
この事象を正式に何と呼んだらいいのか分からない。ただ自分は、自らの身体を1つ理解した気になって深く満足した。