コロナ、カフェイン、薬
コロナにかかってしまった。
ちょっと前からうっすら体調が悪くて、それなりに用心して身体を労っていたつもりだったけれど、子供が(おそらく学校で)コロナをもらってきたら一家全員がやられるのはあっという間だった。恐るべしオミクロン株である。
まあ幸い症状は軽症で済んでおり、一番ひどい症状の頭痛も風邪薬でエイヤとごまかしている。これが非常によく効くのだ。しかしふと気になって風邪薬の組成を調べてみたところ、およそコーヒー1杯弱のカフェイン*1が含まれているのを知った。カフェイン。身体を労る意味でアルコール及びカフェインをここ数週間抜いてきたのに、自分は病気になってカフェインを摂っているのか、という驚きがあった。まあカフェインは薬物の一種だし、病を得て薬を飲むのは何ら不思議なことではない(?)。
思い出すことがあった。6年前のことである。
当時の自分もうっすら体調が悪かった。うっすら体調が悪かった私は常態的に風邪薬*2を飲んで仕事をしていた。おそらく数週間から2ヶ月未満の間だったと思う。ふわふわとした浮遊感に包まれていた感覚を覚えている。
なぜそんなに大量の風邪薬を持っているのかについて説明しておく必要があるかもしれない。自分のかかりつけ医は患者の判断力を養うタイプの医師で、「〜しなさい」ではなく「あなたの場合、〜だと思いますよ」というコミュニケーションをする。善良なる管理者の注意義務を以って委任事務を履行するとはこのことをいうのだと思う。処方薬の効能と、余った薬を自己判断で服用して良いか、どのような時に服用すべきかを教えてくれる先生だった。問題は私が判断を誤ったことである。
明らかに薬を濫用していた自分は、一山の仕事を終え休暇を取った後破滅的に体調を崩した。深夜に大病院の夜間診療を受け、今まさに死にそうな、ゾンビのような肌をした爺さん婆さんがいる同じ部屋に寝かされて一晩点滴されたのはこの時が初めてだった*3。白く明るい蛍光灯、絶え間ない電子音、寒くて硬いベッド、心配そうに見下ろす嫁さんの顔。病院は本質的に眠るための場所ではないのだった。
その後1年ほど通院を続け完治し普通の生活に戻り、数年後にまた破滅的体調不良を繰り返すのだが*4、このよく効く薬を日常的に飲んでいたことが間違いなく6年前の破滅の引き金だったのだと整理できたのが今日だった。コロナ罹患がきっかけで過去の病気と自分への理解が整理されるのは皮肉というか不思議な感じがする。
今うっすら体調が悪い時に飲むのは風邪薬ではなくツムラの41番にしている。前述のかかりつけ医との相談の上でだが、これは今のところうまく効果しているようだ。こんなふうに自分の体と薬との相性の理解を深めるのも人生の一側面かもしれない。